卒業研究のご紹介
2021年版
化学・バイオ系所属学生
ミナミヌマエビへの蛍光マイクロプラスチック投与及び分析
髙田 彰圭神奈川県
工学部応用化学科 2021年3月卒業
神奈川県 横浜商科大学高等学校
研究の目的
新たな環境問題として環境中のマイクロプラスチック(MP)の存在が取り上げられている。MPとは環境中に存在する5mm以下のサイズプラスチック粒子である。これらMPには、微小の形状の製品や、大きなプラスチック製品が温度や紫外線によって劣化・微小化したものがある。これらの多くは環境中に存在しており、河川や海に漂流している。また河川や海洋等に生息している生物の体内に取り込まれ、食物連鎖の過程において人間も暴露していることが指摘されている。特に河川環境のMP汚染についてはまだ未解明の部分が多いのが現状である。今回、研究対象として河川に生息している生物に注目した。本研究では、河川に生息している生物として中津川(支流)地点で採取されたミナミヌマエビを対象とし、河川から採集後に蛍光MPを投与し、生体内への吸収を観察し分析を行うことを目的とした。
研究内容や成果等
中津川支流にて採取したミナミヌマエビに対して、市販の蛍光性のMPの投与を行った。蛍光顕微鏡を用いて、投与したエビの観察を行ったところ、蛍光生MPを投与したほとんどの個体が、蛍光性MPを摂取し、その際、蛍光性MPの取り込みはエビの身体の大きさには依存しないことが分かった。また、投与量を多くするほど、エビ体内の蛍光強度が増加することが分かった。MPの生体影響については、0.5μmサイズの蛍光MPを投与した場合、最低投与濃度の0.02%では、エビの生存時間が他の濃度より長かったため、投与したMPには生体毒性があると考えられた。また吸収効率を比較するために粒径の大きい2.0μmの蛍光MPを投与した結果、0.5μmの蛍光MPと比較して2.0μm投与の方が生体内への取り込みは高かった。しかし、2.0μmの蛍光MPを投与した試料が少ないため、今後も投与し吸収効率の差を比較する必要がある。今回の研究の最大の問題点はミナミヌマエビに投与した蛍光MPがミナミヌマエビの身体に何個あるか確認する方法を見つけられなかったことである。人の目による判断は、サイズも小さいため難しい。蛍光MPを投与したミナミヌマエビの身体の蛍光MPのカウント方法を探すことで吸収効率の差もさらに比較可能となると考えられる。
研究室においては自分のやりたいことや興味があることに積極的に取り組ませていただき、物事への取り組みへの自主性が高まり、成長できたと感じます。また研究室では研究活動の一環としてボランティアで浜辺のゴミ拾いにも参加しました。参加したことで地域の方々との交流やゴミの現状といった地域環境を知ったことがとても興味深かったです。