卒業研究のご紹介
2018年版

情報系所属学生

情報伝送機能を具備する高精度屋内測位システムの開発とその検証

門倉 丈神奈川県
大学院情報工学専攻 博士前期課程1年
(情報学部情報工学科 2018年3月卒業)
神奈川県立藤沢工科高等学校出身

研究の目的

スマートフォンを音源とした高精度屋内測位システムと、このシステムの音源にセンサデータを埋め込み、音によるデータ伝送機能を組み合わせることで、屋内測位システムの適用範囲が広げられる可能性がある。本研究では、この可能性の具現化を目的とし、情報伝送と位置検出の両機能を具備するシステム設計・開発し、実験・評価を行った。

研究内容や成果等

本研究による成果として音波の到達時間差を使用した測位技術により、誤差数cm以内の高精度な屋内測位が可能となり、さらに、測位のための音源にセンサデータを埋め込むことにより、現在位置推定と共にデータ伝送を行うことができる。これにより、たとえば、牛舎での牛の動きと体温、心拍センサを使用した牛の育成管理や、老人ホームなどでの高齢者の方の位置と心拍、加速度情報を使用した見守りなど様々な適用が考えられる。また、本システムでは電波を用いないため、電波の発する機器を使用できない場所などでも使用することが可能である。


開発した送信機

適用例
指導教員からのコメント 教授 田中 博

本テーマは、音で情報伝送と位置検出の両機能を実現するものです。通信理論をベースとしたコンピュータシミュレーション、そのソフトウェア実装、そしてシステム構築という技術が多岐に渡った非常に難度の高いテーマです。その中で、門倉君は持ち前の粘り強さを発揮し、多くの課題を確実に解決し、結果として大きな成果を得ました。国際会議で最優秀論文賞を受けたことはその証左であり、本人のみならず、大学としても非常に大きな成果となりました。この研究を通して習得した課題解決のプロセスは、彼の将来の大きなバックボーンになると期待しています。

修士研究学生からの一言 門倉 丈

本学で成長したことは、やはり情報工学に対する専門知識の習得です。出身高校は工科系で基本的な知識があったため、最初はやる気が出なかったです。しかし2年次になり、これまで知らなったことが出てきたり、3年次ではコンピュータのOSや、電子機器の制御など、今までは使うだけだったものを「作る側の視点」から考察できたのでとても興味深かったです。卒業研究では、さらに多くの知識と経験を積み、成長できたと思います。