卒業研究のご紹介
2021年版

機械・自動車・ロボット系所属学生

共同歯車機構の理解を促進させる教材開発

井澤 蓮(代表者)神奈川県
工学部機械工学科機械工学コース
2021年3月卒業
川崎市立川崎総合科学高等学校出身
村田 友輝神奈川県
工学部機械工学科機械工学コース
2021年3月卒業
神奈川県 湘南学院高等学校出身

研究の目的

中学技術科と高校工業科の授業で用いることができる教材を開発したいと考えた。そこで技術科、工業科教育の根底にはものづくり、工業技術の育成が重要であり機械内部の構造理解が工業技術の基礎となる。また、機械において重要な部品、要素となる歯車は現代の技術では多くの機械装置がブラックボックス化され機械内部の動作原理、構造が理解できないなど実際に歯車を見る機会が減少している。そのため、歯車に関する教材開発をした。
文部科学省が指す、技術科、工業科教育の学習指導要領ではICTを活用した授業を推奨している。ICTを利用すると実物がなくとも可視化ができるのではと考え、また、3Dプリンタを使用して実物に寄せた模型も製作できる。そこで、ICTを活用して中学技術科での活用を想定したものと、高校工業科での活用を想定した2種類の歯車に関する教材を開発した。

研究内容や成果等

■ 歯車機構に必要な原理

教材開発をするうえで、技術科・工業科教育に関する歯車機構に必要な知識、原理を記した。

■ 教材開発(Fusion360)

オートデスク社では教育向けの無償ソフトウェアがある。ライセンス認証に認められている教育機関としては中学校および高校、短期大学、専門学校、政府などがあり、ソフトウェアメーカーからの確認を得られれば、学生や教員はライセンス認証が受けられる。そのため、中学校や高等学校の教員はこれらのツールを使用して自分の授業で使用する教材を開発することができる。そこで本研究では、これらのツール(Autodesk社製のFusion360やMaya)を使って歯車に関するいくつかの教材を開発した。

■ 教材開発(レーザー加工、3D プリンタ、Maya)

Fusion360を使用し歯車の設計をした。そこから教具として使用するため、レーザー加工、3Dプリンタを用いて、樹脂製の歯車を製作した。また、3Dプリンターでは製作できない大きさを対象とするものについては、3DCG作成アプリケーションのAutodesk製Mayaを用いて3DCGアニメーションの教材を開発した。

■ 模擬授業

歯車機構の理解を促進させるための模擬授業を指導計画書、ワークシート、板書計画をした。

■ 結論

本研究を通して、歯車機構の理解を促進させる教材開発から、中・高校で扱える教材の検討ができた。

図1 レーザー加工で製作した平歯車

図2 3Dプリンタで製作したウォームギア

図3 Mayaで製作した平歯車のアニメーション
指導教員からのコメント 教授 佐藤 智明 (教職教育センター)
この研究は、技術教育に関する研究領域の研究です。ここでは、高等学校や中学校などの教育での有効な教育手法の開発や、一般社会に科学や技術について啓蒙する手法についても検討しています。その中で、井澤君と村田君の研究は、中学校技術科および高等学校工業科の授業において活用する教育効果の高い教材の開発を目指したものです。ここでは、機械技術の中で最も重要な部品の一つである歯車について着目し、それによって動力を伝達する仕組みについて、わかりやすく教授できる手法について検討し、3DCGアニメーションによるものと、3Dプリンターで製作したものなど数種類の教材・教具を開発しました。ここで開発された教材とその手法は非常にオリジナル性が高く、またこれらの教材を使った教育手法は非常に教育効果の高いものとなると考えます。
卒業研究学生からの一言 井澤 蓮
大学では、学科での専門的な学びと、教員を目指し教職課程での教職に関する学びの2点を学びました。機械工学科での専門的な知識、教職科目での授業づくりや生徒理解など得られたものは多くありました。
卒業研究では、機械工学科で学んだ専門知識、教職課程で学んだ教職に関する知識の両面を活用して取り組みました。また、共同制作であるため、他者と協力が重要でコミュニケーション能力や協調性が身についたと実感することができました。