卒業研究のご紹介
2021年版

情報系所属学生

4スタンス理論による身体バランスの測定装置の開発

山市 洸大青森県
情報学部情報工学科2021年3月卒業
青森県 青森山田高等学校出身

研究の目的

4スタンス理論とは、「人の身体の使い方には4種類あり、それぞれが自分のタイプに適した身体の使い方を持っている」という考えに基づき、動作スタイルの傾向を分類しようとするものである。これまでは「軸」の測定しか行えず、自身による感覚的な測定しかできなかったが、重心測定装置を導入することで、「軸」・「重心」の2つの測定をより正確に行うことができることを目的とする。4スタンス理論を多くの人に知ってもらうことで、自分のタイプに合った動き、正しい練習、正しいトレーニングを見つけ出し、パフォーマンスの向上や、けがの防止につなげることが可能となる。アスリートだけでなく、専門知識の少ない人でも簡単に重心測定することができる装置およびスマートフォンアプリを開発することを目的とする。

研究内容や成果等

■ 重心測定装置の概要

どのタイプでも足裏が土台となって軸を生みだしている。どんな建物でも土台がしっかりしていなければ崩れてしまうように、重心がしっかりしていなければ、そこから自身にあった軸の動きをすることは困難である。スポーツにおける実際の動作を装置上で行えるよう丈夫なアルミ板にシリコンマットを挟み、その間に圧力センサを内蔵することでこれを実現した。圧力センサの内蔵位置を図1に示す。入力値はArduinoマイコンで集計し、計算結果はBluetoothによってAndroid携帯端末に送信する。
重心を測定するにあたり、以下のような手順によって、重心バランスの結果を出力する。
・左足A+BとE+F、右足C+DとG+Hの比較を行い、A+BとC+Dの圧が強い場合はAタイプ、E+FとG+Hの圧が強い場合はBタイプとなる。
・左足B+FとA+F、右足C+DとD+Hの比較を行い、B+FとC+Dの圧が強い場合は1タイプ、A+FとD+Hの圧が強い場合は2タイプとなる。
・手順1と手順2を組み合わせ、A1、A2、B1、B2、の4種類に分類することができる。

図1 圧力センサ内蔵位置

■ 実験測定結果

被験者によっては、軸測定と重心測定で、タイプの違いに多少ばらつきはあったが、正確な自身のタイプ結果を出すことができた(図2)。しかし、アルミ板の重量により測定に誤差が生じることもあった。

図2 実験している様子と結果の画面

■ まとめ

スマートフォンアプリの測定画面上に、どの部分に重心がかかっているかをリアルタイムで見えるようにしたことにより、実際のスポーツ動作における正確な結果を知ることができた。今後の課題としては、圧力センサの数を増やし重心の位置をより正確に計測するなどが挙げられる。
指導教員からのコメント 知的システム工学研究室准教授 須藤 康裕
スポーツ一筋で頑張ってきた山市さんですが、そういった仲間たちの中では抜きん出てプログラミングなども得意であったため、本人が自ら設定した研究テーマに取り組ませることにしました。工作半分、ソフトウェア開発半分といった形でしたが、実際に人間が上に載って動作するような剛性・安全性を考えたり、予期しない動きや想定外の操作をいろいろ考えて逐一クリアしていかなければならないモノづくりの難しさを、体験することができたのではないかと思います。卒論が終わってからも、資格取得に向けて努力していたので、今後の活躍を期待しています。
卒業研究学生からの一言 山市 洸大
小学校から高校まで野球に打ち込んできましたが本学では、野球を続けながら文武両道を目指して学ぶことができました。将来を考え、情報の分野を専攻しました。入学当初は、わからないことだらけでしたが、いろいろな人から話を聞いたりして、自分なりに成長することができたと思います。また、自分が深く知りたいと思ったことを研究することができ、良かったです。これから、情報系の会社に就職するので、本学で学んだ知識を活かして頑張りたいと思います。