卒業研究のご紹介
2022年版

情報系所属学生

コーディング状態を可視化するプログラミング演習支援システムの開発

佐藤 淳俊千葉県
情報学部情報工学科
2022年3月卒業
千葉県 八千代松陰高等学校出身

研究の目的

講義や演習といった授業では教員が学生の授業態度や授業内容を理解できているかどうかなどを把握しにくいという問題があります。そこで本研究では、プログラミング演習授業における学生の授業態度やタイピングのログなどをリアルタイムに教員に提示するシステムを開発しました。このシステムを使い授業をすることで教員は学生の授業態度などの授業の取り組み状況を把握することができ、状況に応じて注意や解説を行えます。

研究内容や成果等

■ アプローチ

オンライン上でプログラミングを行える開発環境の提供をする。このオンライン開発環境上で行われた操作を収集し教員へ提示する。収集したログから受講者の演習状態を判定し提示する。ログと演習状態を教員へ提示することで、教員は受講者の進捗や演習態度を把握でき、指導を必要としている受講者を効率良く発見することができる(図1)。

図1 アプローチのイメージ

■ システムの概要

オンライン上でプログラミングを行えるシステムを開発し、受講者はこれを使用して授業を行う。受講者がシステムに対して行った操作を学習行動ログとして収集する。演習状況可視化システム(図2)は学習行動ログを可視化して教員に提示する。可視化方法にはシートマップ、タイムラインチャート、コーディング過程、エラー一覧表の 4 種類がある。シートマップには受講者の授業態度を「順調」、「躓き」、「諦め」、「ずる」の 4 状態を色を変えて表示する。状態の計算にはコンパイル・実行・ペースト・エンターキー入力の各回数と学習行動ログを取得した時刻からページをリロードした時刻の経過時間の情報を用いる。

図2 シートマップの画面

■ 評価

模擬授業により本システムを運用し評価する。模擬授業では少人数の学生に対し、授業時間20分で問題数5問のプログラミング演習授業を行い、学生と教員にアンケート調査を行った。アンケート調査により、学生の演習中の進捗と演習状態を把握するのに有効であることを確認した。しかし、状態の判定が正確ではないことや使いにくいことを確認した。

■ むすび

プログラミング演習中の受講者の演習状況を可視化するシステムを開発した。実験の結果、本システムは教員が受講者の進捗と演習状態を把握するのに有効であることを確認した。
指導教員からのコメント ソフトウェア工学研究室教授 田中 哲雄
プログラミング演習の授業では、学生が自分のPCを使ってプログラムを作成します。教員は各学生のPCを覗き込まないと演習の状況を把握することができません。佐藤淳俊君はこの問題を解決するために、演習の状況を可視化して教員に提示するシステムを試作しました。このシステムを使うと、教員は学生が演習を順調に進めているのか躓いているのかを把握して適切なタイミングで指導できるようになります。実用化のための機能を追加し、近い将来、実際の授業で活用する予定です。
卒業研究学生からの一言 佐藤 淳俊

研究活動を振り返り成長したこと

入学時はプログラミング未経験で情報分野も学んだことがなく知らないことだらけでしたが、講義や演習授業を通じてしっかり学習することができ卒業研究では簡単なシステムを作れるまで成長することができました。研究活動では、授業で習ったこと以上に専門的な知識が必要になり、参考書で調べたり同じ研究室のメンバーや教授に質問しながら進めることでさらに多くの知識を学ぶことができました。