卒業研究のご紹介
2022年版

医療技術・栄養系所属学生

未就学児のカウプ指数による体格区分と保護者の生活習慣との関連性​​​​

小林 遥山梨県
健康医療科学部管理栄養学科
2022年3月卒業
山梨県立日川高等学校出身

研究の目的

子どもの生活習慣の獲得には、ロールモデルである保護者の存在が大きい。幼児期の生活習慣は、将来の健康的な体づくりにおいて重要であるため、保護者の介入が必要だと考えた。本研究では、子どもの健康に影響を与える保護者の生活習慣・食意識について検討した。

研究内容や成果等

■ 方法

(1)調査対象

伊勢原市内にある保育園(10施設)に通う2~6歳の子どもの保護者958名(男児480名、女児478名)とした。

(2)質問紙調査

質問紙は、回答者である保護者と子どもの属性や生活習慣・食習慣、保護者の体格の自己評価などに関する質問とした。

(3)統計解析

対象児の身長、体重よりカウプ指数を算出し、体型の区分を行った。本研究では、今村の基準を参考にして、3~6歳は、カウプ指数14.5未満を「やせ」、14.5以上16.5未満を「普通」、16.5以上を「肥満」に分類した。統計解析パッケージSPSS ver.25(IBM.JAPAN)を用いて、χ²検定、残渣分析を行い、危険率5%をもって有意差ありとした。

■ 結果及び考察

(1)子どものカウプ指数による体格区分

カウプ指数から求めた体格評価を見ると、2歳では45.0%が肥満であった。3歳では25.3%、4歳以降は約20%前後が肥満と評価された。このことから、2~3歳の間に肥満になる要因があると考え、2・3歳のグループと4・5・6歳のグループに分けて分析した。

(2) 2・3歳の保護者の生活習慣・食意識

保護者の間食の有無とカウプ指数による体格評価との関連性を見ると、「やせ」の子どもの保護者は、間食をしている者が少なかった(p<0.05)。また、保護者の多種類の食品を楽しんでいるかについての自己評価との関連性を見ると、2・3歳の「やせ」の子どもの保護者は、多種類の食品を全く楽しんでいない者が多かった(p<0.05)。以上より、2・3歳児の特徴として、間食の習慣がなく、食事を楽しむことができない保護者には、「やせ」の子どもが多いと考えられた。

(3) 4・5・6歳の保護者の食態度

保護者に子どもの食事について困っていることとカウプ指数による体格評価との関連性を見ると、「やせ」の子どもの保護者は、子どもの小食に困っている者が多く、「肥満」の子どもの保護者は子どもの小食に困っていない者が多かった(p<0.001)。また、子どもの食事時間において、「やせ」の子どもの保護者は、子どもの食事時間が長いことに困っていた(p<0.05)。さらに、食事中に「よく噛む」ことを促す声掛けをする者は、「肥満」の子どもの保護者に多かった(p<0.05)。以上より、4・5・6歳児の特徴として、小食で、ゆっくり食事する子どもは、「やせ」の者が多いと考えられ、早食いで食事時間が短く、多く食事をとっている子どもは、「肥満」の者が多いと考えられた。

■ 結論

2・3歳児の体格は、保護者の食習慣や食態度と関連し、4・5・6歳児の体格は、子ども自身の食行動と関連していることが明らかとなった。4歳以降の「やせ」の子どもの保護者は、子どもの食事に困難をより認識していた。
卒業研究学生からの一言 小林 遥

研究活動を振り返り成長したこと

研究活動を振り返ってみると試行錯誤の毎日でした。初めて一からアンケートを作成し、分析していくのはとても大変でしたが、研究室の仲間と協力することでより良い研究活動が行えました。今回、対象者とはアンケートを介して研究を進めており、直接のコンタクトはなかったのですが、その分内容をシンプルにし、どのような質問の仕方がわかりやすいかなど細部まで考えました。自分が質問したいことと答える側への配慮のバランスをとり、スムーズに回答できるように工夫しました。研究を通して、相手の立場になって深く考える力が身につき、仲間同士で切磋琢磨し合う大切さを学びました。
現在、私は保育園の栄養士として日々子どもたちの成長を間近に感じ、いつも元気をもらっています。仕事をしていると大学で学んだことがとても大切だと改めて感じます。調理技術や栄養の知識はもちろん、文章を書く力や自分から情報を発信していく力も必要になってきます。大学は何をやって何をやらないかを自分で選択できる場所だと思っています。自分には必要ないからと早々に切り捨てるのではなく、まずはチャレンジしてみることが大事です。自分で行動した分だけいろいろなことを経験できるのが大学の面白さだと思います。