卒業研究のご紹介
2021年版

電気電子系所属学生

共同フォグスクリーンを用いたLEDろうそくの検討

青木 琢真(代表者)神奈川県
創造工学部ホームエレクトロニクス開発学科2021年3月卒業
神奈川県立新羽高等学校出身
栁橋 一貴群馬県
創造工学部ホームエレクトロニクス開発学科2021年3月卒業
群馬県立沼田高等学校出身

研究の目的

本研究は火を使わない安全な「LEDろうそく」の開発を目的としている。現在、神社仏閣といった歴史的価値の高い建造物は祭儀において本物の和ろうそくを使用している。多くのろうそく型LED照明が販売されているが、祭儀に使用できるものはない。火災のリスクが高い本物の和ろうそくが祭儀に使用される理由は和ろうそくの炎の色や揺らぎがLEDで再現されていないことが挙げられる。本研究は超音波霧化素子から噴霧される霧をフォグスクリーンとして利用しLED光を照射することにより、和ろうそくの再現性の向上を図った。

研究内容や成果等

■ 既存の加湿器の分解と超音波霧化素子の駆動電圧

LEDろうそくのフォグスクリーンの霧は超音波加湿器(株式会社トップランド製SH-OR30)に使用される超音波霧化素子で発生させた。加湿器の筐体を分解し使用されている回路を解析した。Fig.1に超音波加湿器の発振回路を示す。発振回路は時間の経過とともに発熱することが確認できた。Fig.2に超音波加湿器の駆動電圧波形を示す。分解した加湿器を駆動させ超音波霧化素子の出力電圧と周波数をオシロスコープで測定した結果、Vpp=20V、f=100kHzとなった。

Fig.1 超音波加湿器の発振回路

Fig.2  超音波加湿器の駆動電圧波形

■ 筐体の製作

(1)LED光の照射角度調整器及び噴霧量調節部品
Fig.3にLED光の照射角度調整器を示す。LED光を霧に照射する角度を制御するためにFig.3のLED光の照射角度調整器を製作した。Fig.4に噴霧量調整部品を示す。この照射角度調整器はFig.4の噴霧量調節部品上部に取り付け、噴霧口から距離10mmの高さ以上の霧にLED光が照射されるように調整した。
(2)超音波霧化素子固定部品
Fig.5に超音波霧化素子固定部品を示す。従来のLEDろうそくでは噴霧量調節口設置による噴霧不良があった。そのため、Fig.5のように超音波霧化素子と調節口の間に距離をとり、噴霧不良を改善した。

Fig.3 LED光の照射角度調整器

Fig.4 噴霧量調整部品

Fig.5 超音波霧化素子固定部品
(3)霧の拡散防止用プロペラ装置
Fig.6に霧の高密度化装置を示す。和ろうそくの炎を表現するためには霧の拡散を防ぎ、収束させるか除去する必要があった。したがって噴霧口直上にプロペラ(CCP社製の小型ラジコンヘリ「ピコファルコン」の姿勢制御用プロペラ)をFig.6のように設置し、上昇気流で霧の高密度化を図った。

Fig.6 霧の高密度化装置

■ プロペラ印加電圧を変化させたときのLEDろうそくの評価

(1)実験方法
噴霧条件は超音波霧化素子にVpp=49.6V、f=109kHzで駆動させた。LEDは電球色LED(OSM2DK5111A-UV)を45°で照射し、青色LED(OSB56A5111A)を15°で照射した。Fig.7にプロペラ印加電圧を変化させたときのLEDろうそくの評価映像を示す。プロペラ印加電圧はLEDろうそく1で0.8V、LEDろうそく2で、1V、LEDろうそく3で1.2Vとした。これらの条件で駆動させたLED和ろうそくと本物の和ろうそくの動画を撮影し、Youtubeを通じて学内の被験者に配信し、アンケートを行った。

Fig.7 プロペラ印加電圧を変化させたときのLEDろうそくの評価映像
(2)実験結果
「LEDろうそくアンケート」の調査結果はFig.7のLEDろうそく2が最も高い評価が得られた。今回の評価結果からプロペラ印加電圧の最適電圧は1Vとなった。他のLEDろうそくに比べて炎の形状が表現できたと思われる。

■ まとめ

フォグスクリーンを用いたLEDろうそくの検討を行った結果、以下の結果が得られた。
・超音波加湿器の噴霧回路、LED光の照射角度調整器、噴霧量調節部品、超音波霧化素子固定部品および霧の高密度化装置によるフォグスクリーンを用いたLEDろうそくを作製した。
・霧の拡散防止用プロペラ装置のプロペラへの直流印加電圧は1Vが最適と考えられる。
指導教員からのコメント 照明工学研究室教授 三栖 貴行
本研究は私が学科着任後、2期生のプロジェクト授業を担当したときのテーマでした。その後、株式会社未来技術研究所の若杉社長のご協力により特許の取得や観光施設における実証実験などが行われ、先輩から後輩へ「バトン」が受け継がれていき、学生のアイディアを優先させて発展してきました。LEDを単純に点滅制御していた時代から飛躍的に見た目を向上させたのは本研究を担当した学生二人の大きな功績と思われます。LEDろうそくは未だ完成度が低いものですが、噴霧口の拡張を現4年生が実施しており、かなり改善されると考えています。「古き良き日本の灯りを現代技術で蘇らせること」を目標に今後も学生が主体となって発展していく研究テーマです。読者の皆様も本研究に参加してみませんか?
卒業研究学生からの一言 青木 琢真
本研究の作業は主に電子回路と筐体の製作に分かれており、今年は私を含め2名で作業を分担し研究に取り組みました。ろうそく型LED照明は電子回路と筐体のどちらか一方でも欠けてしまうと完成することはないため、情報の共有とスケジュール管理を徹底し研究を進めました。特に情報の共有では伝えたい情報が誤って伝わってしまうと、本来であれば必要のない調整作業が生じてしまいます。私たちは定期的に詳細な打ち合わせを行うようにし、このような事態を避けるとともに「伝える力」の向上にも励んだので、コミュニケーション力も高まりました。