卒業研究のご紹介
2019年版
電気電子系所属学生
共同国際標準規格 (ECHONET Lite) を利用したスマートメータと家電製品を統合したHEMSサービスの研究
佐野 芳樹(代表者)三重県
大学院電気電子工学専攻 博士前期課程1年
(創造工学部ホームエレクトロニクス開発学科 2019年3月卒業)
(創造工学部ホームエレクトロニクス開発学科 2019年3月卒業)
三重県立四日市工業高等学校出身
神林 優河新潟県
創造工学部ホームエレクトロニクス開発学科 2019年3月卒業
新潟産業大学附属高等学校出身
高村 走山梨県
創造工学部ホームエレクトロニクス開発学科 2019年3月卒業
山梨県立甲府城西高等学出身
小川 塁大分県
創造工学部ホームエレクトロニクス開発学科 2019年3月卒業
明豊高等学校出身
研究の目的
本研究はスマートメータと家電製品を活用して、見守りをはじめとした住宅向けサービスの実現を目的としています。少子高齢化や核家族化など日本の家族問題は年々深刻になっており、新たな介護支援や見守り支援の確立が必要となっています。本研究での住宅向けサービスはそのような問題を解決する可能性があると考えます。
研究内容や成果等
■ 実験および実験方法
実験⑴では、電気と水道の使用量から生活者の行動推定を行う事を目的としている。
実験⑴の実験環境では、電気の他に水道使用量の収集も可能である為、分電盤を2台利用し電気と水道のデータ収集と、IoT機器のデータ収集を行った。実験⑴の概要を図1に示す、また、収集を行った機器とその機器に対する取得情報を表1に示す。表1に示した機器の動作を1分間隔で記録した。被験者を集め、洗濯、風呂共に40回の実験を行った。
実験⑴の実験環境では、電気の他に水道使用量の収集も可能である為、分電盤を2台利用し電気と水道のデータ収集と、IoT機器のデータ収集を行った。実験⑴の概要を図1に示す、また、収集を行った機器とその機器に対する取得情報を表1に示す。表1に示した機器の動作を1分間隔で記録した。被験者を集め、洗濯、風呂共に40回の実験を行った。
実験の流れを図2のフローチャートに示す。実験の記録として、電気と水道の使用量、収集時間等共通の項目以外に、風呂実験では実験被験者の普段の入浴傾向、洗濯実験では洗濯物の内容等の項目を記録した。
実験⑵では、電気の使用量と家電の動作状態から生活者の行動推定を行う事を目的としている。実験⑵では、 3人暮らしの一軒家を対象に実験を行った。各機器での瞬時電力とスマートメーターから住宅全体の瞬時電力を取得。家庭内のコンセントごとの消費電力を収集する為、eneQubeを採用。実験⑵の概要を図3に示す。また収集を行った機器とその機器に対する取得情報を表2に示し、1日の動作を記録した。計測間隔は実験⑴と比べ、対象機器数が増えたことを踏まえて、ネットワークの負荷を軽減し、処理の遅延による収集時のデータの欠落を減らす為、計測間隔を3分に変更した。
■ 生活者の行動軌跡
データ収集を積み重ねることで、生活者の住宅内での行動が推定できる可能性を示す為、実際に実験⑵のデータ収集を基に行動軌跡を作製した。作成手順のフローを図4に、その手順から作成された生活者の行動軌跡を図5に示す。
住宅内の各セクションでの行動推定を組み合わせることで、生活者の1つのデータだけでは推定できない住宅全体での行動が可視化できた。今回の実験を実施した住宅では、キッチンから移動できる部屋はリビングのみであり、キッチンとリビングでの行動軌跡の割合は本来であればほとんど等しくなる筈である。しかし、TVや換気扇といった稼働させた後一定時間稼働させたままにしておくことが多い機器でデータの収集を行っている性質上、一度稼働させた後の動作を正確に追跡する事が困難であり、往復の割合が大きく異なってしまうという結果となった。
住宅内の各セクションでの行動推定を組み合わせることで、生活者の1つのデータだけでは推定できない住宅全体での行動が可視化できた。今回の実験を実施した住宅では、キッチンから移動できる部屋はリビングのみであり、キッチンとリビングでの行動軌跡の割合は本来であればほとんど等しくなる筈である。しかし、TVや換気扇といった稼働させた後一定時間稼働させたままにしておくことが多い機器でデータの収集を行っている性質上、一度稼働させた後の動作を正確に追跡する事が困難であり、往復の割合が大きく異なってしまうという結果となった。
■ 結論
1 )実験1の結果より、電気と水道の使用量から、生活者が家事を行ったタイミングを推定する事が出来た。洗濯物の量などは一方のデータだけでも推定できたが、2つのデータを組み合わせることで、より精度の良い推定が可能である。また、風呂実験のグラフと生活者の入浴傾向等のパーソナルデータを照らし合わせ、生活者の判別も行える可能性があることが見えてきた。2 )実験2の結果より、IoT機器の動作状態だけでは推定できないIoT機器の動作モード等も、家電の瞬時電力データと組み合わせることで推定する事が出来た。また、住宅全体の消費電力のグラフと収集対象機器全体の消費電力のグラフを比較することで、IoTに対応していない家電製品の消費電力が判断出来るので、IoTに対応していない家電 製品の動きも推定できる、様々なデータ収集を行い、積み重ねることで生活者の行動や、住宅状況の可視化が可能になり、生活行動推定が出来ることが示せた。
- 指導教員からのコメント 教授 一色 正男
- 本研究は、高齢者見守りを目的にした HEMS利用促進研究の一環である。高齢者の生活行動を様々な機器の利用状況から推定することで、高齢者の日々の生活と生活変化を見守る技術を確立することである。特に、一般住宅へ実装可能な実用システムを提供することを想定して、HEMS用国際標準規格(ECHONET Lite規格)をベースにした家電設備機器や各家庭に設置されているスマートメーター等を活用して推定しようとしている。研究では、素敵な世界を想像することを共有し、あとは、学生の自主性と独自アイデアを尊重して進めています。若いから考えられる素敵な未来を想像してほしいと願っている。
- 修士研究学生からの一言 佐野 芳樹
- 研究活動では、問題に対してどのようなアプローチが有効なのかを検討し検証することを繰り返して目的にたどり着くよう取り組みました。このような経験は自分の意思を整理し相手に伝えるスキルを身につけることに繋がりました。また外部大学や企業との交流機会も多く、刺激を受けながら活動ができました。家電や住宅、暮らしといった身近なことを通じて4年間様々なことを学べました。
- 創造工学部ホームエレクトロニクス開発学科(大学サイト )
- 教員紹介ページ(大学サイト )
- 研究室ナビ(大学サイト)