卒業研究のご紹介
2019年版
情報系所属学生
スマートロックにおける二端末の加速度を用いた歩行認証の研究
渡辺 一樹新潟県
大学院情報工学専攻 博士前期課程1年
(情報学部情報ネットワーク・コミュニケーション学科 2019年3月卒業)
(情報学部情報ネットワーク・コミュニケーション学科 2019年3月卒業)
十日町高等学校出身
研究の目的
近年、家のドアの鍵の開閉を行うスマートロックと呼ばれる製品が開発されています。その、スマートロックの認証方式として、従来のパスワード方式ではパスワードが推測されやすくユーザに記憶負荷がかかるという問題点があります。これらの問題点を解消する方式として生体認証方式があります。しかし、従来の生体認証方式では家の前で数秒間立ち止まる必要があり、マスクや手袋を身につけていればそれらを外す必要があります。
そこで、私の研究では、日々の生活で日常的に行われる歩行を認証に用いることでスマートロックの認証における煩わしさや従来方式の問題点を解消することを目的とし研究を行いました。
そこで、私の研究では、日々の生活で日常的に行われる歩行を認証に用いることでスマートロックの認証における煩わしさや従来方式の問題点を解消することを目的とし研究を行いました。
研究内容や成果等
二つの端末の加速度データを用いてスマートロックの認証を行うシステムモデルを図1に示す。
■ 実験と評価
加速度データを取得する端末として、スマートフォンにSonyXperiaXZs、ウェアラブル端末にSonySmartWatch3を用い、二つの端末のAndroidシステムから加速度センサのデータを取得するプログラムをJAVAで作成する。また、スマートロックの代わりにサーバを用意し、識別率を計算するプログラムをPythonで作成。データの送受信にはBluetoothを用い、加速度の計測開始命令および計測終了命令を各端末に送信することで加速度計測を行う。機械学習にはPythonモジュールのscikit-learnを用い、識別率を計算する。次に、本提案である歩行認証の有効性を確認するため実験を行った。被験者には図2のようにスマートフォンを右ポケットに入れ、ウェアラブル端末を左腕に装着した状態で約10mの廊下を歩行してもらった。15人の被験者にはそれぞれ20回歩行してもらい歩行時の加速度データを取得した。
また、一つの端末のみを用いる場合より、二つの端末を用いた方が、識別率が高くなることが確認できた。
また、一つの端末のみを用いる場合より、二つの端末を用いた方が、識別率が高くなることが確認できた。
■ おわりに
スマートロックにおける二端末の加速度データを用いた歩行認証について研究を行った。結果として機械学習にRandom Forestを用いた場合識別率が95.3%と高い精度で識別を行うことができた。今後は学習データを少なくした場合でも高い精度で認証できるような特徴量やシステムを考察する。
渡辺君は4年の初めから自分で研究テーマを選んでいろいろと調べながら研究に取り組んで、その成果を学術学会で発表するなど、非常に強い意欲で研究を進めています。さらに、この研究をより深く追求するために大学院博士前期課程に進んでいる将来有望な学生です。