卒業研究のご紹介
2020年版
情報系所属学生
シャチの生態とその多様性を伝えるための絵本制作
佐藤 多嘉子新潟県
情報学部情報メディア学科 2020年3月卒業
青山学院横浜英和高等学校出身
研究の目的
シャチは世界中の海に生息しているが、ここ数十年の研究で、分布域・個体群によって複数のタイプが存在することが判明した。それぞれが独自の文化を持ち、食性や行動範囲、群れの個体数など生態は大きく異なり、遺伝的にも隔離されていることがわかっている。これらの研究結果から、シャチはその生態において驚くほどの多様性をもつと考えられている。
しかし、こうした事実は一般的には知られておらず、また、シャチについても否定的なイメージが多いのではないかと推測した。本研究では、シャチの生態とその多様性を伝えるための絵本を制作し、シャチの魅力や海の生態系での重要性の浸透を図ることで、シャチだけでなく海洋環境の周知および保護拡大に繋げることを目的とする。
しかし、こうした事実は一般的には知られておらず、また、シャチについても否定的なイメージが多いのではないかと推測した。本研究では、シャチの生態とその多様性を伝えるための絵本を制作し、シャチの魅力や海の生態系での重要性の浸透を図ることで、シャチだけでなく海洋環境の周知および保護拡大に繋げることを目的とする。
研究内容や成果等
■ 作品制作
シャチの生態とその多様性をメッセージとした絵本を制作する。制作した絵本の冒頭ページを図1に示す。
(1)制作概要
シャチの生態については、2019年までに販売されている科学書や論文、ドキュメンタリ—を調査し、制作の参考にする。制作した絵本は、シャチに対する興味の有無に関わらず読者に評価してもらう。そのなかで、シャチの生態における多様性が伝わっているか、制作した絵本を理解できる年齢はどれくらいか等の項目で読者調査する。
幅広い世代を読者の対象とするため、子供でも読みやすい内容と表現を目指す。制作時に想定する対象年齢は、事物の仕組みなどについて説明した本や文章を読むことが指導されている6〜7歳(小学校低学年)以上とする。
(2)制作工程
制作に必要な工程を以下に示す。
①シャチの生態調査 ②デザイン考案 ③台割り・ラフの作成 ④下書き ⑤線画 ⑥彩色・修正 ⑦文字の配置・補足
(1)制作概要
シャチの生態については、2019年までに販売されている科学書や論文、ドキュメンタリ—を調査し、制作の参考にする。制作した絵本は、シャチに対する興味の有無に関わらず読者に評価してもらう。そのなかで、シャチの生態における多様性が伝わっているか、制作した絵本を理解できる年齢はどれくらいか等の項目で読者調査する。
幅広い世代を読者の対象とするため、子供でも読みやすい内容と表現を目指す。制作時に想定する対象年齢は、事物の仕組みなどについて説明した本や文章を読むことが指導されている6〜7歳(小学校低学年)以上とする。
(2)制作工程
制作に必要な工程を以下に示す。
①シャチの生態調査 ②デザイン考案 ③台割り・ラフの作成 ④下書き ⑤線画 ⑥彩色・修正 ⑦文字の配置・補足
■ 制作結果
まず、4〜8歳の子供10名に作品を見せたところ、「難しい」「シャチの絵がかわいい」等の反応が多数であった。次に、10歳以下の子供をもつ親9名と10〜20代の学生19名、合計28名に制作した作品を見てもらい、読者調査を実施した。調査内容は、1.作品からシャチの暮らしぶり(生態)が多様であることが伝わってくるか、2.作品を読んでシャチのイメージが変わったかどうか、上記2項目である。調査結果を表3に示す。
1について約9割が「伝わった」と回答し、「イラストがかわいく子供でも見やすい」「伝わりやすい内容で、シャチの生態にもいろいろ違いがあることがイラストからも分かって良い」という意見が多くあった。しかし、「世界地図や言葉の言い回しに、小学生が理解するには難しいところがある」「子供が読むには文章が長い」という声も散見された。さらに、「中高生向け」「大人が見て楽しめるものではないか」という当初想定した対象年齢に疑問を呈する声も多数あった。
作品を通じてシャチの生態とその多様性を伝えることはできたが、子供に分かりやすい内容と表現の実現には改善の余地があることがわかった。
1について約9割が「伝わった」と回答し、「イラストがかわいく子供でも見やすい」「伝わりやすい内容で、シャチの生態にもいろいろ違いがあることがイラストからも分かって良い」という意見が多くあった。しかし、「世界地図や言葉の言い回しに、小学生が理解するには難しいところがある」「子供が読むには文章が長い」という声も散見された。さらに、「中高生向け」「大人が見て楽しめるものではないか」という当初想定した対象年齢に疑問を呈する声も多数あった。
作品を通じてシャチの生態とその多様性を伝えることはできたが、子供に分かりやすい内容と表現の実現には改善の余地があることがわかった。
■ おわりに
制作を通して、シャチの生態とその多様性を表現することはできた。しかしながら、幅広い世代に見せるには、絵本としての文章や構成に課題が残った。
また「図鑑」としての側面が強いことから、絵が中心の「絵本」としての要素も合わせた「図鑑絵本」のようなジャンルで制作すると、より読者にも内容が伝わりやすいと考察できた。今後の課題として、子供にも理解しやすい内容や表現を追求するとともに、シャチの生態やその多様性をさらに魅力的に伝えられる作品を制作する。
また「図鑑」としての側面が強いことから、絵が中心の「絵本」としての要素も合わせた「図鑑絵本」のようなジャンルで制作すると、より読者にも内容が伝わりやすいと考察できた。今後の課題として、子供にも理解しやすい内容や表現を追求するとともに、シャチの生態やその多様性をさらに魅力的に伝えられる作品を制作する。
その意味と意義において、佐藤さんは早くから熱心に研究に取り組み、試行錯誤を重ねながら、絵本という子供にもわかりやすい形で制作成果をまとめ上げたことは、非常に高い評価に値すると思います。
海洋生物のみならず動物全般に対して強い興味があるようなので、範囲を広げての研究制作継続を大いに期待するところです。
また、早期に研究室を訪れ先生に研究の相談をしたおかげで、4年になったときにスムーズに研究を行えたので、自分から早めに研究室に行くことも重要だと思います。