卒業研究のご紹介
2018年版

化学・バイオ・栄養系所属学生

きのこ子実体の血栓線溶活性の評価

松岡 夕貴神奈川県
大学院応用化学・バイオサイエンス専攻 博士前期課程1年
(工学部応用化学科 2018年3月卒業)
川崎市立川崎総合科学高等学校出身

研究の目的

日本人の25%は血栓症により死亡している。がんの症状の一つに血液が固まりやすくなり、血栓症を誘発することがある。これを防ぐための血栓溶解薬剤は、食品との併用や他の薬剤との飲み合わせに十分な注意が必要である。一部の薬用きのこ菌糸体は血栓に対して線溶活性が認められているため、食用や薬用きのこ子実体の血栓溶解性について明らかにすることを目的に、今回は食用きのこ子実体において菌種ごとの線溶活性強度を測定し、評価を行った。

研究内容や成果等

本実験で用いた試料9種(ヒラタケ、マイタケ、エリンギ、シイタケ、ナメコ、ホワイトマッシュルーム、キクラゲ、ブナシメジ、エノキタケ)の食用きのこ子実体は血栓溶解性をもち、特に効果の高いブナシメジ抽出物は水溶性のタンパク質分解酵素を有すると考えられるため、研究を重ねれば免疫療法に利用できる可能性が示唆される。


指導教員からのコメント 教授 斎藤 貴

松岡さんは、薬用や食用のきのこが持つ薬理効果を測定し、その有効成分を明らかにする研究を行っています。きのこには、人の免疫向上効果、血栓溶解効果、活性酸素抑制効果など、多くの薬理作用を持つと言われ、この研究では日本には自生していない貴重な幻のきのこも扱っています。

研究を行う松岡さんは、医薬に強い興味を持つ学生で、すでに研究成果を学術学会で発表しており、社会貢献に寄与できることを目標に意欲ある姿勢で研究をしています。現在、より深く追求するために大学院博士前期課程に進んで研究を続けている将来有望な学生です。

修士研究学生からの一言 松岡 夕貴

スーパーサイエンス特別専攻の1期生として、学科の授業だけでなく医生命の授業や半年間の留学などを行い様々な経験ができました。また、特別専攻の幅広い授業を受け、自ら興味をもち、積極的に取り組む姿勢や発表・プレゼンテーション技術を伸ばせたと思います。学科の実験デザインの授業を通して、計画性をもって行動する力や班員との協調性がいかに必要か確認できました。どの経験も今後の生活や研究に生かせるものだと感じています。