卒業研究のご紹介
2018年版

情報系所属学生

情報志向型ネットワークにおけるポップ数と要求頻度を考慮したデータキャッシュ方法の提案

安部 達哉神奈川県
情報学部情報ネットワーク・コミュニケーション学科 2018年3月卒業
神奈川県立秦野高等学校出身

研究の目的

近年、複数のセンサを用いてデータを自律的に収集しユーザに情報を届けるM2M (Machine to Machine/機器間の通信) サービスが注目されている。また、通常1つのサービスに特化しているM2Mに、同じ機器を導入する必要がある異なったサービスではデータの共有を行うことができず、導入コストや管理コストが余計にかかってしまう。この問題を解決するため、複数のM2Mサービスを提供するセンサネットワークにICN (Information Centric Network) を適用する手法が注目されている。また、無線センサネットワークで使用されるセンサノードはバッテリ駆動であるものが多く、電力に限りがあるため通信回数を減らし消費電力を削減するという課題がある。そこで本研究では、前述の問題や課題を踏まえ、シンクノードからセンサノードまでのホップ数とデータの要求頻度を指標としたキャッシュ方式の提案を目的とする。

研究内容や成果等

ネットワーク内のノードの消費電力の減少を確認することができた。提案方式ではシンクノードからのホップ数が大きく、要求頻度の多いセンサノードのデータは優先的にキャッシュされるため、シンクノードから遠く且つ要求が多いセンサノードからデータを取得する回数が減り、その結果消費電力の削減に繋がったと考えられる。今後の課題として、中継ノードの残存電力を考慮し、自身の通信範囲内にいるノードの中でいちばん残存電力の多いノードが要求頻度とホップ数を用いてキャッシュを行うことで、更なる消費電力の削減が挙げられる。

本研究により、自分が必要としている情報がいつでも近くにある状態となるので、遠いところから取りにいかなくてよくなり、端末電力の削減につながる。新たなネットワークを築く際に有用であろう。


情報指向型ネットワーク
指導教員からのコメント 教授 塩川 茂樹

安部君の卒業研究は「情報指向型ネットワーク」を対象としています。例えば「ある情報が欲しい」という場合、従来のネットワークではその情報を持つ機器を特定して送信要求をしました。これに対して情報指向型ネットワークでは、不特定多数に「この情報が欲しい」と要求し、実際に持っている機器から受け取ります。新しい高速ネットワーク技術として、最近非常に注目されています。彼は熱心な研究調査により、いち早く情報指向型ネットワークに着目し、情報保存の新たな方法を提案してその有効性を示しました。その研究成果は新たなネットワークを築く一歩となっています。

卒業研究学生からの一言 安部 達哉

社会人となり集団で動くことが多くなるので、常に状況を把握し、今、何をすべきかを考え、迅速に動ける基本が大学で学べてよかったです。部活動で部長を務めたり、研究室内でもイベント企画など運営の方に回ることが多く、周りを見る力が付いたからだと思います。