卒業研究のご紹介
2020年版
情報系所属学生
円錐ミラーとインテグラルフォトグラフィを使用した360°裸眼立体表示
池谷 信之神奈川県
情報学部情報メディア学科 2020年3月卒業
神奈川県立深沢高等学校出身
研究の目的
近年、360°どの方向から見ても立体に見えるディスプレイが登場している。その1つがホログラフィックピラミッドであり、液晶ディスプレイの光をその上に置かれた半透明の四角錐で反射させるものである。
この場合、液晶ディスプレイの上にフライアイレンズを置くことで、あたかも四角錐の中に奥行きのある物体があるかのように錯覚する。しかし、四角錐のため四隅に境目があるので見る方向によっては、像が不連続になる可能性がある。本研究では四角錐に代えて円錐を用いる新しいディスプレイを提案する。
この場合、液晶ディスプレイの上にフライアイレンズを置くことで、あたかも四角錐の中に奥行きのある物体があるかのように錯覚する。しかし、四角錐のため四隅に境目があるので見る方向によっては、像が不連続になる可能性がある。本研究では四角錐に代えて円錐を用いる新しいディスプレイを提案する。
研究内容や成果等
■ 研究内容
従来は、前方、後方、右、左の4方向分のIP画像が必要だが、円錐ミラーは面が湾曲しており、360°光を反射させる必要があるため、液晶ディスプレイの各ピクセルから放出された光の屈折や光の反射を計算したIP合成画像を作成する必要がある。
(1)モデル
360°像が表示されるようにするためには360°分のモデルの画像と光の屈折、反射を計算し作成した画像を生成する必要がある。
(2)IP画像の合成
図1に示すように、液晶ディスプレイから放出された光はその近傍の凸レンズの曲率中心pを通って空間に放出され、その一部が円錐ミラーの表面上の点qで反射される。その一部が観察者の目に入る。観察者から見ると光が反射してきたのではなく、円錐ミラーの奥から光が出ているかのように感じる。中心軸の付近に物体があるかのように感じさせるには、中心軸を通る仮想的な四角形があると考え、図2に示す720枚のうち、その視線vの方向から見た画像を表示させておく。点qから-vの方向に進んだ光が四角形と交わる点rを求め、その点の画素値を取得し、点qから点pを辿って、液晶ディスプレイの画素に設定する。この処理を液晶ディスプレイ全ての画素について行う。
(1)モデル
360°像が表示されるようにするためには360°分のモデルの画像と光の屈折、反射を計算し作成した画像を生成する必要がある。
(2)IP画像の合成
図1に示すように、液晶ディスプレイから放出された光はその近傍の凸レンズの曲率中心pを通って空間に放出され、その一部が円錐ミラーの表面上の点qで反射される。その一部が観察者の目に入る。観察者から見ると光が反射してきたのではなく、円錐ミラーの奥から光が出ているかのように感じる。中心軸の付近に物体があるかのように感じさせるには、中心軸を通る仮想的な四角形があると考え、図2に示す720枚のうち、その視線vの方向から見た画像を表示させておく。点qから-vの方向に進んだ光が四角形と交わる点rを求め、その点の画素値を取得し、点qから点pを辿って、液晶ディスプレイの画素に設定する。この処理を液晶ディスプレイ全ての画素について行う。
■ 実験内容
本研究ではUnityが提供しているCGキャラクターのUnityちゃんをモデルとして使用した。細かくレンダリングするため図2に示すように0.5°刻みで720枚取得した。
360°分取得したUnityちゃんの画像を取り込み、IP画像合成の方法を利用した画像を生成するプログラムをC言語で作成した。
上記のプログラムで作成した画像を図3に示す。この画像を図5に示すように円錐ミラーに投影したところ両眼視差による裸眼立体表示が可能であった。
上記のプログラムで作成した画像を図3に示す。この画像を図5に示すように円錐ミラーに投影したところ両眼視差による裸眼立体表示が可能であった。
■ 結果と考察
図4に示した結果から目的の両眼視差による裸眼立体表示が可能と確認できたが、像がぼやけて見えるため、より高解像度の液晶ディスプレイや広角のフライアイレンズを使用する必要が考えられる。
私は卒業研究に着手する前は立体表示についての専門的な知識は持ち合わせていませんでした。しかし、谷中先生からご指導・アドバイスをいただき研究内容を理解し、試行錯誤しながら研究を進めていきました。その結果、ヨーロッパの国際学会で発表することができました。
海外の発表を通して、世界の研究レベルの高さを肌で感じ、良い刺激を受けました。この経験を今後の人生にも活かしていきたいと考えています。