卒業研究のご紹介
2019年版
化学・バイオ・栄養系所属学生
レモンの皮の成分からプラスチックを作る
原澤 慎樹東京都
工学部応用化学科 2019年3月卒業
東京都立東高等学校出身
研究の目的
ミカンやレモンなどの皮は年間数万トン以上がゴミとして廃棄されており、有効利用が望まれています。この廃棄物の中にはリモネンという化学物質が含まれています。
リモネンの特徴は、「環状構造をもつ」「非可食資源」であり、現状の天然資源由来プラスチックの原料に求められる要素を高く満たします。実際に、リモネンから合成されたプラスチックは、優れた化学的・熱的特性を有するとの報告があります。しかし、その合成では、特殊な金属触媒を用いる、加圧下での反応であるといった過酷な化学条件が必要となります。そこで、私はリモネン由来の炭酸エステルを用いて、温和な条件でリモネンプラスチックが合成できるかを研究しました。このような新反応開発の意義は、プラスチックに特殊機能を持たせたり、応用性及び汎用性を高くできることにあります。
リモネンの特徴は、「環状構造をもつ」「非可食資源」であり、現状の天然資源由来プラスチックの原料に求められる要素を高く満たします。実際に、リモネンから合成されたプラスチックは、優れた化学的・熱的特性を有するとの報告があります。しかし、その合成では、特殊な金属触媒を用いる、加圧下での反応であるといった過酷な化学条件が必要となります。そこで、私はリモネン由来の炭酸エステルを用いて、温和な条件でリモネンプラスチックが合成できるかを研究しました。このような新反応開発の意義は、プラスチックに特殊機能を持たせたり、応用性及び汎用性を高くできることにあります。
研究内容や成果等
■ 緒論
リモネンは代表的なバイオマスであるため、今日、その有効利用が望まれている。リモネンを原料としたポリカーボネートP-LCの合成の報告例は、特殊な金属触媒を用いたり、加圧下での反応である。そこで本実験では、リモネンジオールLMdiol及びリモネンカーボネートLM5CCを用いて、比較的温和な条件でP-LCの合成を試みた。
■ 実験と結果・考察
LMdiolとジメチルカーボネートDMCを混合し、DMAPを触媒に用いて90°C、24時間で重合を試みた。その結果、1A-と4A-体ではLM5CCが生成した。2A-と3A-体ではLMCが生成し、重合しなかった。
次にLM5CCを用い、触媒として1,5,7-トリアザビシクロ〔4.4.0〕デカン-5-エンTBD(10 mol%)、開始剤としてベンジルアルコール(10 mol%)を加え、60°C下で20時間加熱した。4つのLM5CCのうち2A-LM5CCのみが重合し、収率20%でP-LCを得た。
次にLM5CCを用い、触媒として1,5,7-トリアザビシクロ〔4.4.0〕デカン-5-エンTBD(10 mol%)、開始剤としてベンジルアルコール(10 mol%)を加え、60°C下で20時間加熱した。4つのLM5CCのうち2A-LM5CCのみが重合し、収率20%でP-LCを得た。
天然資源を原料としたプラスチック材料の多くは、分解性を有することが多く、海へのマイクロプラスチックの残存などの環境汚染を解決しうる可能性を秘めています。