卒業研究のご紹介
2018年版
情報系所属学生
グラフ比較表示による手書き音色作成支援ツールの開発
田中 治京都府
情報学部情報メディア学科 2018年3月卒業
大谷高等学校出身
研究の目的
現在、Desk Top Music(以下DTM)の普及に伴い、シンセサイザのソフトウェア化が進んでいる。しかし、シンセサイザのパラメータの理解は難しく、知識と経験が必要である。そこでEG※のパラメータを、他の音声波形などのグラフと比較しながら視覚的に操作できるツールを開発し、有用性を検証することを目的とした。
※EG(Envelope Generator):アタック(Attack)、ディケイ(Decay)、サスティン(Sustain)、リリース(Release)という4つのパラメータがあり、音程、音色、音量などに時間的な変化を与えるモジュール。
研究内容や成果等
コンピュータでの音楽制作におけるシンセサイザを使用した音作りの支援を目的としたツール開発を行った。音の要素の理解を深めてもらうと同時に、音作りの方法も提案した。サウンドコンテンツの制作上、役立つツールとして使用できるよう、今後も研究を深めていきたい。また、本ツールが音楽制作に興味をもつきっかけにもなってほしいと考える。
シンセサイザの音作りにおける問題点を挙げ、その解決方法として、CYCLING’74社のMaxを用いて、EGの視覚化と自由度の高いパラメータ設定ができるGUIを開発した。
視覚化したEGを他のグラフと比較しながら操作できるUIと、自由度の高いパラメータ設定方法は、DTMで扱うグラフの理解や音作りに有用であることがわかった。本ツールのGUIについては、EGの選択ボタンや発音時間の設定ウィンドウなどについて、表示方法の改良を検討している。
田中さんの研究は、音楽やサウンド制作をする上で必要となってくる、シンセサイザを視覚的に扱えるように考えたものです。本来、音作りに必要なパラメータを扱うには、知識として理解するだけでなく、複雑なパラメータ同士の相互関係も含んだイメージを音にするための経験値が必要です。その経験値を効率的に上げられるよう、音のイメージをグラフという形で視覚化し、グラフそのものの操作で音を作成できるツールを制作しました。音のイメージを多角的にグラフ化することで、パラメータの仕組みや機能を学習できるようにもなっています。
講義の選択や就職先など、調べて考えることが高校より格段に増え、自分で考えて行動する自主性がかなりつきました。情報系は仕事として、サウンド系は趣味として一生付き合っていきたいのでその両方が学べてよかったです。本学のユニット講義は、メディア系のことをひと通り学べ、そこから興味をもった分野を3年次から選べるので、おススメです。