卒業研究のご紹介
2019年版

化学・バイオ・栄養系

アズレンを含むピリジン誘導体の合成と性質

石野 瑠菜神奈川県
工学部応用化学科 2019年3月卒業
神奈川県立七里ガ浜高等学校出身

研究の目的

アズレンはナフタレンの構造異性体である。ナフタレンは白色結晶であるのに対し、アズレンは青色結晶であるなど特徴があり、古くから興味をもたれている。エナミノンを酢酸アンモニウム塩存在下で処理すると、対応するピリジン誘導体を与える報告がいくつかなされている。しかしながら、生成したピリジン誘導体の構造は報告ごとに異なっている。当研究室では、2位にエナミノン部を有するアズレンを酢酸アンモニウム存在下で処理することで、アズレニルピリジン誘導体を与えることを報告している。私は、アズレンの4位に置換したエナミノンあるいは6位に置換したエナミノンを用いて、アズレニルピリジンが合成されるかについて検討を行った。また、置換基や置換位置によって色が異なることから、アズレニルピリジンが呈する色についてUV-可視スペクトル測定を用いて検討することとした。

研究内容や成果等

我々はアズレンを有するイノン類を種々のアミンで処理すると対応するエナミノン1を与えることを見いだし報告している。一方、エナミノンをアンモニウム塩で処理すると、対応するピリジン誘導体を与える報告がいくつかなされている。しかしながら、生成したピリジン誘導体の構造は報告ごとに異なっている(eq.1)。

eq.1

本反応における生成物の構造を検討した結果、2の構造をしていることが分かった(eq.2)。さらに、エナミノンの反応性はアズレンの置換位置によって大きく異なることも明らかになった。すなわち2位および6位にエナミノン部を有するアズレンについては、対応するピリジン誘導体2を与えるのに対して、4位にエナミノン部を有するアズレンについては反応が複雑化し、対応する2を確認することはできなかった。さらにカルボニル基を還元したアルコール体3への誘導を行った結果、収率よく変換できることが分かった。

eq.2

指導教員からのコメント 教授 山口 淳一
アズレンはいろいろな色に変化する有機化合物で、古くからその構造等に興味が持たれています。最近、アズレンを含む化合物には半導体としての性質を持つことも知られ、世界中で多くの研究者が新しい性質を持つ「新規アズレンの合成研究」を行っています。しかし、それらの合成は困難を伴うことが多く、分解してしまったりして思い通りにいかないことばかりの研究テーマです。そんな中、石野さんは粘り強く実験を重ね、新しいアズレン化合物をいくつも合成することができました。これらは、エメラルド色を示す綺麗なアズレン誘導体もあり、皆さんにお見せしたい位です。詳細な特性については今後の研究に委ねられますが、興味深い性質を示すことを期待し、まだまだ発展する研究であると思っています。最後に石野さんが合成した化合物の構造式を示します。

卒業研究学生からの一言 石野 瑠菜
卒業研究を通じ、自ら考えて行動する力と人に頼る力が鍛えられたのではないかと思います。研究では実験の予定を立てたり、結果に応じて臨機応変に対応していかなければならないことが多くありました。当初は慣れないことばかりで失敗もたくさんしましたが、その都度原因を考え対処するうちにできることが増え、研究を「楽しい」と感じることができました。また、全てを一人で抱え込もうとするのではなく、相談したり作業を分担したりと必要に応じて人に頼ることができるようになったと感じました。