卒業研究のご紹介

化学・バイオ・栄養系

粒子分散液を用いたC12A7薄膜の作製

久保田 翔太神奈川県
工学部応用化学科 2018年3月卒業
神奈川県立上溝南高等学校出身

研究の目的

1991年にグレッツェル教授らのグループが発明した太陽電池の一種の色素増感太陽電池の対極には、一般的に希少金属である Pt が使用されている。これは、さらなる製造コスト削減の阻害要因となる。そこで、Pt の代替材料としてCa12Al14O33(以下C12A7)のエレクトライド(電子化物)に注目した。このエレクトライドは、室温・大気中でも安定し、金属的電気伝導性やアルカリ金属並の仕事関数を持つことが明らかにされている。さらに、希少元素を含まないため、代替材料として期待できる。C12A7エレクトライドを色素増感太陽電池の対極として応用することを目指し、粒子分散液の調製とそれを用いたC12A7薄膜の作製を行った。

研究内容や成果等

色素増感太陽電池の特徴は、比較的発電効率が高く、製造コストが安価であることだが、対極に希少金属の Pt が使用されているため、さらなる製造コスト削減の阻害要因となっている。そこで、Pt の代替材料としてC12A7のエレクトライド(電子化物)に注目。研究の結果、C12A7薄膜の作製に成功した。この物質の薄膜を作製できれば安価な太陽電池を作製でき、私たちの生活を豊かにできると考えられる。


図1 得られた粉末のX線回折測定の結果

図2 薄膜のX線回折測定の結果

図3 薄膜の断面のSEM画像
指導教員からのコメント 教授 竹本 稔

アルミン酸カルシウムの一種である、通称C12A7は古くからセメントの材料として用いられてきました。この物質の中には、通常ではほとんどあり得ないほど移動しやすい状態になっている酸化物イオンが含まれています。近年、その酸化物イオンが関係する新しい機能に注目が集まっています。物質や材料が実際に応用されるためには、大きさやかたちをコントロールしてつくることができなくてはなりません。久保田君はこのC12A7を薄い膜状につくることに挑戦しました。忍耐強く実験を行った結果、粒子分散液を塗って加熱するだけで簡単に薄膜状に作ることに成功しました。その厚さはわずか1000分の5ミリメートルです。今後はこの薄膜状のC12A7が発揮する電気的な機能について調べていきたいと考えています。

卒業研究学生からの一言 久保田 翔太

卒業研究を通して、研究の面白さを知ることができました。また、4年間の授業では人前で発表する機会が多くあり、プレゼンテーション能力を養うこともできました。