卒業研究のご紹介
2018年版

電気電子系所属学生

水平スロット導波路構造の基礎研究

落合 俊弘栃木県
工学部電気電子情報工学科 2018年3月卒業
栃木県立小山西高等学校出身

研究の目的

光導波路の屈折率変化を利用するバイオセンサは小型・高感度・迅速な検出という点から注目されている。スロット導波路は2つの高屈折率媒質に挟まれたナノオーダの低屈折率領域(スロット)に光電界が局在する構造で、従来の誘電体導波路より高密度・高強度な光の閉じ込めが可能なため、様々なセンサ応用の議論がなされている。しかし、一般にSi系材料スロット導波路構造形成はコストや製造装置の制約を受ける。一方、薄膜により厚さ方向にスロット導波路構造を形成する水平スロット導波路は、各領域の微細化・均質化が比較的容易である。本研究では、酸化物誘電体Nb2O5を用いた水平スロット導波路構造を考案し、バイオセンサ応用に向けた基礎研究を行った。

研究内容や成果等

近年、急速な発展を遂げる光通信用デバイスは、通信分野のみならず医療や環境分野におけるセンサとしても注目されている。光の通り道である光導波路の構造を研究し、光の干渉や共振といった性質を利用して、危険物質の低コスト・迅速・高感度な検出を目指している。これは、病気の早期発見や、環境汚染の発見にもつながる。


水平スロット導波路構造を有するリブ型導波路
(a) 断面図  (b) 電界分布
指導教員からのコメント 教授 中津原 克己

落合君は向上心とともに協調性もあり、周りから頼りにされる存在でした。また、電気電子の分野に加え、バイオサイエンスにも興味を持ち、卒業研究では、当研究室の光デバイスの研究を発展させた新たなバイオセンサデバイスの研究の立ち上げに奮闘しました。スロット光導波路は、通常とは異なり、低屈折率かつ非常に狭い領域に光を閉じ込め、小形で高感度なセンサを実現する素子として期待が高まっています。落合君は学会で2回の発表を行い、他大学や企業の方々と討論や交流を経験しました。また、研究成果は特許出願にも繋がりました。

卒業研究学生からの一言 落合 俊弘

1年次に受講したライフサイエンスで生物の多様な機能性を初めて知り、電気とバイオの両方を取り入れた研究がしたいと強く思いました。これは大学院での私の研究テーマにもつながっています。他分野の様々な情報を得ることは電気電子にできること、できないことの理解にもつながり、大きく成長できたと思います。