卒業研究のご紹介
2019年版

機械・自動車・ロボット系

小型水素発生機の開発および性能試験

杉澤 宏樹山形県
工学部機械工学科 2019年3月卒業
山形県立酒田東高等学校出身

研究の目的

現在、様々な分野で水素が注目され、燃料電池などの工業分野のみならず、医療や美容、農業分野でも応用が期待されています。そして、必要な量の水素を必要な時に発生できる水素発生機が注目されています。水素発生機は産業用の大型装置から一般家庭用の比較的小さな装置まで多くの機械が社会に供給されていますが、一般家庭向けの小型水素発生機は少ないのが現状です。そこで、本研究では、安全かつ高濃度の水素を得られる小型で軽量な水素発生機の開発を行い、より身近なものとして水素の普及を目指していくことにしました。

研究内容や成果等

本研究では比較的取扱いが安易で、安全である固体高分子膜(PEM膜)を利用した水電解方式を採用した。また、原料水は蒸留水を採用。開発した小型水素発生機には、水素発生量が少ない小型の水電解セルを使用し、内部の水を循環させるため、気液混合型のポンプと流量コントロールシステムを新しく取り入れた。
開発した小型水素発生機の仕様は表1に、製作した装置の性能試験の概要は図1に示す。図1のような装置を用いて製作した発生機の性能を測定したところ、表1のような所定の仕様を満たしていることを確認した。なお、発生機自体は東京ビッグサイトでの展示会にも出展した。

表1 製作した小型水素発生機の仕様実験の検証の画面

A : 小型水素発生機 B : 蒸留水入りタンク  C : メスシリンダー D : 水槽 E : タイマー
F、 F’ : ボールバルブ G : データロガー H : 白金抵抗測温素子 I : 安定化電源

図1 性能試験装置概略

■ まとめ

本研究で開発した小型水素発生機は安全で安定した高純度の水素を生成できることが確認できた。大きさも従来品と比較し、小型で軽量な装置が作成できた。また、性能試験の結果より電源装置の能力次第で水素発生量を上げられることが確認できた。そのため、今後の改良では水素発生量を増加させるため、電流値の出力に余裕がある電源装置の選定が必要であると考えられる。
指導教員からのコメント 准教授 矢田 直之
「水素吸引」は先進医療 Bとして認可されている先端治療の一つですが、家庭や小規模の医療現場で利用可能な高純度の水素を発生する小型水素発生装置は、国産では存在しません。そんな中で、杉澤君が開発した小型水素発生機は、ビッグサイトで開催された展示会やリラクゼーションサロンのショールームなどでも大好評でした。現在、彼の研究成果を基礎として、具体的な製品化が着々と進行しており、ある企業が開発した製品は、4月以降ですでに複数台の注文があったと聞いています。小型水素発生機は、ビジネス的にも今後の展開・改良が期待されており、卒業研究の成果が短時間のうちに製品化された貴重な例であると考えます。
卒業研究学生からの一言 杉澤 宏樹
私は、大学の活動の中で実験や卒業論文などの専門科目の講義が印象に残っています。特に、2年次から、今まで習ってきたことを応用させるものとなっており、課題も多くありました。課題達成と理解を深めるためにも、事前に計画を立て、実行していく必要があり、計画性の重要さを改めて実感できました。また、これらの課題を達成するため、他者と協力することでより良いものができ、協調性の重要さにも気づきました。今後、計画性と協調性を意識し、社会人として生活していきたいです。