卒業研究のご紹介
2018年版

情報系所属学生

学生の学習行動を可視化する穴埋め式ワークブックシステムの開発

渡辺 優太福島県
情報学部情報工学科 2018年3月卒業
福島県立郡山北工業高等学校出身

研究の目的

大学では多人数の受講生を抱える授業が多く、このような講義で教員の説明が長くなると、教員の話に集中できず授業についてこられない学生が増加する。学生の集中持続のために「もんたメソッド」による授業を行ったり、演習を取り入れたりし、学生が考える時間や手を動かす時間を設ける教員も多いが、多人数授業では、穴埋め中・演習中の学生数を把握したり、あきらめた学生、解答を終えた学生を見分けることが困難である。

本研究では、(1)手間をかけずにもんたメソッドを取り入れたワークブックを作成、(2)詳細な学習行動ログから学生の授業態度や理解度、あるいは、授業進度の適切さを把握、(3)学生にとって難解と考える箇所や、重要と考える箇所を教員と共有するシステムを開発することを目的とする。

研究内容や成果等

本システムは、オーサリングモード、ブラウジングモード、アナリティクスモードのモードからなる。オーサリングモードは、PDF文書に対して空欄を設置することで、ワークブックを作成するモードである。ブラウジングモードは、学生が授業中に使用するモードである。学生がワークブックに対して行った操作のログを収集し、学習行動ログとしてシステムに蓄積する。アナリティクスモードは、学習行動ログを可視化して提示する。空欄の解答状況の表示や授業態度ヒートマップにより学生の理解度や授業態度をひと目で把握できる。

学生数が多く、教員が一人ひとりの学生の状況を知ることが困難な授業などで、教員は、学生が難解と考える箇所や、重要と考える箇所、間違えやすい箇所を知りつつ授業するため、授業がより学生にわかりやすいものとなる。


システムの利用イメージ
指導教員からのコメント 教授 田中 哲雄

渡辺優太君は、授業支援システムをテーマとして卒業研究を行いました。このシステムにより、教員はPDFから穴埋め式電子教材を作成することができ、また、教材への穴埋めやアンダーラインなどの学習行動を把握することができます。これにより教員は、学生が授業についてきているか否かを授業中にリアルタイムに把握することができるようになります。渡辺君は、このシステムの基本機能を試作して、模擬授業による実験でその有用性を確認しました。このテーマは後輩に引き継がれ、実際の授業への適用に向けて開発が進められています。

卒業研究学生からの一言 渡辺 優太

ソフトウェア工房に入り、様々なプロジェクト活動を通じて、技術力や、コミュニケーション能力など、あらゆる点で成長できました。